「知っている」と「できる」は違った。Webマーケティング会社で働いて学んだこと
2026/07/10目次-Contents-
はじめに
私はもともと、Web制作会社のマーケティング部署で2年ほど働いていました。SEOという言葉には慣れていましたし、タイトルタグの付け方や内部リンクの重要性、コンテンツの網羅性といった、いわゆる「教科書的な知識」はひと通り頭に入っていたつもりです。
ただ、正直に言うと、そこから一歩踏み込んだ分析まではできていませんでした。数値を見ても、「順位が下がった」「流入が増えた」と確認するだけで、その背景にある原因まで掘り下げられていなかったのです。
日々の業務に追われ、深く考えること自体を避けていた部分もあったと思います。
今になって思えば、実践に活かしきれていないのに知識だけが増え、それっぽい説明をクライアントにしているだけの、頭でっかちなマーケターだったと思います。
そんな状態でWebマーケティング専業の会社に転職し、気づけば半年が経ちました。
半年間働くなかで、自分の考え方が大きく変わりました。その変化を忘れないうちに整理しておきたいと思い、この記事を書いています。
この記事では、その半年間で「知識としては知っていたつもりだったのに、実は全然分かっていなかったこと」を、自分の頭の整理も兼ねてまとめます。
学んだこと①:ユーザー心理から逆算する
一番大きく変わったのは、「何を軸に考えるか」です。
以前は「検索順位を上げるにはどうするか」から考えていました。もちろん検索順位を上げることも大事ですが、今は「このページに来たユーザーは、今どんな気持ちで、何を不安に思っているか」から逆算するようになりました。
サイトによって目的は異なります。問い合わせの獲得を目指す場合もあれば、通販サイトの購入率を高めたい場合もあります。ただ、どのサイトにも共通して重要なのは、「ユーザーが何に悩み、このページがその悩みをどう解決できるのか」を考えることです。
同じ情報を伝えるにしても、不安を解消してから背中を押すのか、先にメリットを見せて期待を高めるのかで、構成もライティングの語順もまったく変わってきます。SEOは検索エンジンだけを見るものではなく、その先にいる人の心理や行動まで考えて設計するものなのだと、実務を通じて理解できるようになりました。
ずっと「Googleにどう評価されるか」ばかりを気にしていたため、こうした当たり前の視点が抜け落ちていました。

学んだこと②:ユーザー行動の原理から設計する
もう一つ大きかったのが、ユーザーには一定の行動パターンがあるという発見です。人はページを開いた瞬間、隅々まで読むのではなく、ごく直感的に「必要な情報があるかどうか」を判断しています。
ユーザー心理が「何を感じているか」を考える視点だとすれば、ユーザー行動は「実際にページ上でどう動くか」を考える視点です。
例えば、人が一度に処理できる情報量には限界があるという認知心理学の考え方を知ってからは、ナビゲーションの項目数やファーストビューの情報量を見る目が変わりました。
項目を詰め込みすぎたヘッダーや、選択肢が多すぎる比較表は、良かれと思って作っても、かえって離脱を招くことがあります。感覚ではなく、こうした行動原理に基づいて設計することを意識するようになっています

学んだこと③:サイトを訪れるユーザーは一種類ではない
これは意外と見落とされがちなポイントですが、1つのサイトを訪れるユーザーといっても、その属性は決して一様ではありません。例えば、あるサービスサイトには「サービスを利用したい人」だけでなく、「そのサービスを取り扱いたい事業者」や「関連する商品を製造する企業」が訪れる場合もあります。
同じキーワードで検索していても、見ている立場が違えば求めている情報も、響く訴求も、進みたい導線もまったく異なります。ペルソナを1つに固定して深く考えた気になっていた自分にとって、「このページには複数の属性のユーザーが来る前提で設計する」という視点を持てるようになったのです。
そのなかで、どのユーザーを主なターゲットにするのかを考え、「このコピーはどうだろう」「この言い回しでは誤解されて離脱するかもしれない」と検討できるようになったことに、以前より少し成長できたと感じています。
学んだこと④:検索意図を「分類」だけで終わらせない

検索意図を意識すること自体は前職でもやっていました。ただ、それは「このキーワードは情報収集なのか、比較検討なのか、購入直前なのか」という一段目の分類で止まっていたように思います。
振り返ってみると、検索意図を考えているつもりで、実際には検索語句の意味を表面的に分解していただけだったと思います。
今は、そこからさらに「なぜこの人はこのタイミングでこの言葉を検索したのか」「検索結果に何が並んでいて、その中で自社サイトはどう見えているべきか」まで掘り下げるようになりました。同じ「比較検討」フェーズのキーワードでも、価格の安心感を求めているのか、失敗したくないという不安を解消したいのかで、用意すべきコンテンツはまったく別物になります。この「もう一段深い意図」まで言語化できるかどうかが、成果の出るコンテンツとそうでないコンテンツの分かれ目だとと実感しています。
学んだこと⑤:サイト構成そのものが問い合わせや購入を左右する
コンテンツの中身さえ良ければ成果は出る、と考えていた時期もありましたが、ページ間の遷移率やCTAのクリック率、フォームへの到達率などを確認するなかで、サイト全体の構成そのものがコンバージョンに大きく影響することを学びました。
情報の並び順や導線の長さ、ユーザーが途中で離脱しやすい箇所の改善など、ページ単体の良し悪しではなく「サイト全体としてユーザーをどう案内しているか」という視点がなければ、個別のページばかりに目を向け、サイト全体を見られていなかったのです。まさに「木を見て森を見ず」の状態だったことに、この半年でようやく気づきました。
おわりに:「知っている」と「アウトプットできる」はまったく別物

ここまで挙げてきた学びに共通しているのは、そのどれもが「言葉としては前職でも知っていた」ということです。ユーザー心理、ユーザー行動、検索意図、サイト構成とCVの関係——用語としては目にしたことがありました。
けれど、必要なタイミングで、目の前の案件に合わせて、自分の言葉でアウトプットできるかどうかは、まったく別の話でした。
知識は「持っている」だけでは価値にならず、「使える形にして取り出せる」ようになって初めて意味を持つ。
当たり前のようですが、これを痛感できたことこそが、この半年で得た一番大きな学びです。
Web制作会社のマーケ部署にいた頃の自分に、今の自分から一言伝えられるとしたら「知っていることと、できることを混同するな」だと思います。
まだまだ学びの途中ですが、半年前と比べると、「なぜその施策が必要なのか」を自分の言葉で少しずつ説明できるようになりました。Webマーケティングを始めたばかりの方や、知識を実務に落とし込めず悩んでいる方にも、何か一つ参考になる部分があれば幸いです。

アパレルからWEB業界でマーケターに転身しはや3年目。
好奇心旺盛で何事にも首を突っ込む多趣味な男が、マーケターとして成長していけるよう日々奮闘しています。
最近はバイオリンをやっていて、葉加瀬太郎さんの「情熱大陸」を練習しています。







