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マーケターは天才ではなく、職人だった。憧れて飛び込んだマーケティングの仕事のリアル

2026/09/04

Web担当者の実務

はじめに

「サバイバルウエディング」というドラマをご存知でしょうか。
Louis VuittonやHermèsなどハイブランドのマーケティング戦略を応用して、編集者で勤める女性が婚活し、結婚するまでの物語です。
作中で、今の名だたるハイブランドがなぜ今の地位に上り詰めたのか、そのブランディングやマーケティング戦略が語られるのですが、
当時大学生だった私がそのドラマに影響されて、マーケティングに興味を持ち「マーケターになりたい!」と思ったきっかけでした。

最初はアパレルの販売員でしたが、24歳くらいのときに「マーケティングがしたい!」と思って転職活動を始めました。
ドラマで出てきたように、データを駆使して戦略を立て、消費者の心を動かすキャッチコピーを生み出す。
動く金額も大きく、企業の成長を左右する仕事。そんな、少し派手で知的なイメージを持っていたのを覚えています。

今回は、当時の自分と同じように「マーケティングに興味を持っている」「マーケターとしておもしろい仕事をしたい」と考えている人に向けて、
私が体験したイメージと違うマーケティングの仕事や、その中のおもしろさ・大変さなどお伝えしたいと思います。

入る前に抱いていたイメージ

前項でも書きましたが、当時の私が思い描いていたマーケターの仕事は、かなりざっくりしたものでした。

●データを駆使して、戦略を立てる仕事
●ブランディングを考えて、より良いキャッチコピーを生み出す仕事
●大きなお金を動かせる仕事

こうした断片的なイメージを寄せ集めて、「かっこいい仕事だ」と考えていました。

当時の私は、天性のひらめきだけでビジネスを動かせる「天才」が、マーケターなのだと思っていました。
こういう仕事もあるので間違ってはないですが、実際に働き始めてみると、そのイメージとは違うことも多かったです。

まず、「データを駆使する」という言葉の裏側には、まずデータを整理し、集計するという地道な作業があります。
その後で、数字を眺めて傾向を探り、仮説を立てては検証する。
その繰り返しの先に、ようやく「戦略」と呼べるものが見えてきます。

 

華やかに見える施策の裏には、必ず小さな検証(PDCA)の積み重ねがあります。何本も打った施策のうち、うまくいったのはそのうちの1つ、ということも珍しくありません。
今世の中で語られる”凄いマーケティング戦略”とされるものも、ほとんどそうなのではないでしょうか?
小さな検証を繰り返し、失敗も経験し反応が良かったものを飛躍させる。意外と泥臭いことをやっているのがマーケターです。

もちろん経験を積むことで、最初から精度の高い仮説を立てられるようになる場面もありますが、
それでも検証というプロセス自体は基本的に欠かせないものです。

 

ちなみに、データを扱うと聞くと「数学が得意でないと厳しいのでは」と思う方もいるかもしれませんが、実務で求められるのはほとんどが算数レベルの数字感覚です。
難しい数式を解く力よりも、「この数字は増えているのか、減っているのか」「その変化はなぜ起きたのか」を丁寧に考える姿勢の方が重要だと感じています。

 

働いてみて分かったのは、マーケターは天性のひらめきで戦略を生み出す天才ではなく、
会社の売上を増やすために、地道に検証を重ね、考え抜く「職人」だということでした。

 

「頭がいい人の仕事」ではない

マーケティングというと、「頭の良い人がやる仕事」というイメージを持たれることも多いように思います。
私も転職前はそう思っていた一人です。

 

けれど実際に働いてみて感じるのは、必要なのは知識量そのものよりも、考え方や視点の使い分けだということです。

今の時代、知識が足りない部分はネットやAIである程度補うことができます。
それよりも大切なのは、物事を多角的に捉える視点を持つことです。

 

人が何かを購入したり、契約したりするとき、そこにはたった一つの理由だけがあるわけではありません。
価格や品質など外的要因、ストレスのような衝動や給料日でテンションが上がっているなど内部要因など。
いくつもの要素が絡み合って、最終的な決断に至ります。だからこそ売り手の側も、ある一点だけを見て発信すれば良いわけではないのです。

 

私が意識するようになったのは、
クライアントの事業全体を俯瞰する「経営者目線」と、
実際にその商品やサービスを使う「消費者目線」を、行き来しながら考えることでした。
経営者目線だけでは独りよがりな戦略になりかねませんし、消費者目線だけでは事業として成り立たない提案になってしまいます。
両方の視点を持って初めて、意味のある施策が見えてきます。

「多角的な視点を持てるのは、頭が良い人だからだ」と言われることもありますが、私はそうは思いません。
これは訓練によって身につけられる力です。私自身、最初からできていたわけでは決してなく、少しずつできるようになってきましたし、今も訓練の途中です。

これからマーケティングを学びたいという方でも、十分に身につけていける力だと思っています。

 

常に新しいことを学べる、飽きない仕事

マーケティングの仕事をしていて感じるもう一つの魅力は、常に新しいことを学び続けられる点です。

 

担当するクライアントが変われば、その業界の知識をゼロから学び直すことになります。
飲食、医療、製造業、士業など、扱う業界は多岐にわたり、それぞれに独自の仕事のやり方や顧客心理があります。
この「新しい業界を知る」というプロセスは、
正直なところ大変な面もありますが、それ以上に飽きのこない面白さがあります。

また、クライアント先の営業担当や開発担当、デザイナーなど、普段の自分の業務範囲では出会わなかったような立場の方々と関わる機会も多くあります。
そうした方々との会話の中から得られる学びも、決して少なくありません。

 

さらに面白いのは、仕事そのものだけでなく、これまでの自分の経験や趣味が、思いがけないところで役に立つことがある点です。
過去に携わっていた業種の知識や、趣味として長く続けてきた分野の知識が、クライアントの業界理解を早める助けになることもあります。
特別な資格や経歴がなくても、これまでの人生で積み重ねてきたものが、そのまま武器になり得るのだと実感しています。

 

おわりに

ここまで書いてきたのは、マーケターになって間もない頃に感じたギャップです。

 

派手なイメージに加えて、地道な作業の積み重ねに気づき、頭の良さよりも多角的な視点が大切だと知り、学び続けることの面白さを知った。
「天才」である必要はなく、「職人」のように地道に考え抜く。それがマーケターという仕事のリアルでした。

 

けれど、この時点の私は、まだ自分がどれだけ「知っているつもり」で仕事をしていたか、気づいていませんでした。

その話は、半年後の自分が書いた別の記事に譲りたいと思います。

興味のある方はそちらも読んでみてください。

「知っている」と「できる」は違った。 Webマーケティング会社で働いて学んだこと

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