景品表示法の不当表示に「ステマ」規制を提言
2023/01/05
消費者庁の「ステルスマーケティング(ステマ)」に関する有識者検討会は、2022年12月27日報告書を取りまとめ、その中で、景品表示法で禁止する不当な表示の類型に「ステルスマーケティング(ステマ)」を加えることを提言しました。
これを受け消費者庁では今後、運用基準の作成に着手し、内閣府消費者委員会に諮ったうえで新たな告示を制定、来年度中の施行を目指す見通しです。
■ステマとは?
「ステルスマーケティング(ステマ)」とは企業などの広告主がSNSなどにおいて、インフルエンサーらに広告費として対価を支払い、個人の感想であるかのように商品やサービスを宣伝してもらう手法のことで、以前から問題性が指摘されていました。
こうした行為について消費者庁では、「消費者の合理的選択を阻害する恐れがある」とし、有識者による検討会を2022年9月に立ち上げ、規制の必要性などについて検討を進めてきました。
■検討会では
報告書によると、景表法が禁止する不当な表示の類型に「消費者が広告主の広告表示であると判別することが困難である」という項目を加え、「ステルスマーケティング(ステマ)」を「禁止行為として指定することが妥当」と結論付けました。
規制の対象となるのはテレビ、新聞、ネットなどのすべての媒体。「広告」「宣伝」「PR」など広告か否かを明確に示す表示を求め、それらの文字が周りの文字より小さく表記されるなど不明瞭なものは禁止行為に該当すると示しています。
■インフルエンサーの2割がステマを実施したことがある
この検討会ではSNSなどのインフルエンサーを対象に行ったアンケートも報告され、インフルエンサー300人のうち約40%に当たる123人が「広告主からステマの依頼を持ち掛けられた経験がある」と回答したそうです。
また、そのうちの55人が、その依頼の全てもしくは一部を受けたことがあると回答しました。
■広告主も規制を歓迎
大手企業などが加盟する広告主の業界団体では、今回の検討会の提言を「公正な競争の実現につながる」などとして評価しています。
■まとめ
数年前からステマは幾度となくメディアなどに取り上げられ、実際に炎上もしていました。
EUでは「不公正取引方法指令」や「デジタルサービス法」で、アメリカでは「連邦取引委員会法」などの法律により規制されていますが、日本ではまだその分野の法律は整備されていません。
欧米のように日本でも規制されるかどうかが今後注目されます。